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(せ)ハイスクールデイズ №2

現役生に話を聞くと、桐蔭の伝統文化であったサマーキャンプ、通称「サマキャン」は今はもうないらしい。
私よりもっと前の世代では「団体訓練」、通称「団訓」と言ったキャンプは夏冬1回ずつ行われ、
サマキャンでは登山、冬の「ウィンキャン」ではスキーを通して協調性を学ぶという趣旨である。
3年生になると勉強に集中するためにキャンプは一切行われず、修学旅行などというポップなイベントも存在しない。
あるのは日産スタジアムを借り切って行う、体育祭という名のマラソン大会だけである。
ここで私は人生で最も輝かしいタイムを叩き出すのだが、それはまた別の話…。
ウィンキャンは今も継続して行われているとのことだが、最近は「冬の団体訓練」とサブタイトルがつき、
かつて教師陣が正しいビンタの仕方の講習を受けていたという団訓時代を懐古し始めたかと思いきや、
何を血迷ったのか修学旅行を取り入れて青春感を醸し出しているらしく、桐蔭が一体どこに向かっているのか甚だ不安である。

****

1年生のときのサマキャンを振り返ったとき一番に思い出すのは、
宿の食堂に貼ってあった魔法戦隊マジレンジャーのポスターを見て「本気戦隊じゃなかったのか…」と衝撃を受けたことだろうか。
そう、あれは2005年の夏のことである。
登山のついでに行う校外学習は、その年は蕎麦打ちと焼き物体験だった。
マグカップの焼き物に自分で墨を入れて好きな模様を描くというものなのだが、
書道の先生を母に持つエル坊が同じく2005年に放映していたアニメ「バジリスク」に出てくる人別帳をカップの一面に書き込み、
耳なし芳一のような物々しい仕上がりになったのをよく覚えている。
あのマグカップはまだ健在なのだろうか。

登山の日はそこそこしっかりとした装備で臨むのだが、私はわざわざ学校指定のトレッキングシューズを買うのをケチり、
父親がウン十年前に買ったままほとんど使っていなかった靴を借りて行った。
ほぼ未使用ということで取り立てて心配はしていなかったのだが、
登山道の入り口で整列していると後ろのエル坊が「おい!おい!」と声をかけてきた。
何事かと思って振り向くと、エル坊が私の靴を指差していた。
視線を下に向けると、そこにはソールの後ろ半分が剥がれてスリッパのようになっている靴があった。
まだバスを降りて十数歩しか歩いていないのだが、長年の放置は確実に靴底を蝕むのだということを学習した次第である。

学校に帰ると、日本一つまらない学園祭との呼び声高い「鵬翔祭」にて、
サマキャンの校外学習で学んだことをテーマにした展示の準備が始まる。
我がクラスは楽しかった焼き物を完全に無視して蕎麦打ちに決まった。
同じく蕎麦打ちをテーマとする理数科のクラスと合同での出店である。
展示といってもネットで調べたことを模造紙に書き起こして貼るくらいで、準備など30分あれば可能だ。
あとは当日蕎麦打ちの実演をするくらいで、準備期間はひたすら「マルドゥック・スクランブル」を読んで過ごした。

そして鵬翔祭当日。理数科の教室で行われる蕎麦打ちの実演に我がクラスから姿を現したのは、私とエル坊の二人のみ。
他のクラスメイトがどこで何をしていたのかは知らないが、腰を痛めながらただただ蕎麦を打ち続けた甲斐あって、
私は2日間の日程を終える頃にはかなりまともな蕎麦が作れるようになっていた。
この年の通知表の総合学習欄にはこう書かれている。

「打ち手としてはクラスで双璧である」

全くもって真実である。何せ二人しかいないのだ。物は書きようだと、担任の作文能力にいたく感心した。

****

2年生にもなると慣れたもので、学校指定のトレッキングシューズを買うのをケチり、
父親がウン十年前に買ったままほとんど使っていなかった靴を借りてサマキャンに臨んだ。
ほぼ未使用ということで取り立てて心配はしておらず、ソールが剥がれることもなく無事に宿に帰ってきた。
さてスリッパに履き替えて一段落…しようとするも、どうにも靴が脱げない。
同室のエル坊やクケンらの協力を得て思いっきり引っ張ると、靴下から足がスポンと抜けた。
依然靴の中に残ったままの靴下を取り出そうとすると、靴の中敷きがドロドロに溶けてガム状になり、
完全に靴下と癒着してしまっていることがわかった。
長年の放置は確実に靴の中敷きを蝕むのだということを学習した次第である。

校外学習は燻製作りだ。特に何事もなく終わったが、隣の班は火力の加減を誤って燻製キットが全焼した。
鵬翔祭ではテラスで燻製を作っていた気がするが、誰も客が来なかったし何もしていなかったのでほとんど記憶にない。
この年の鵬翔祭にはほじょが遊びに来ていたのだが、チラッと挨拶だけしてほじょを置いて先に帰ったのでほとんど記憶にない。
あまりにも誰も何もしていなかったので燻製作りの歴史はなかったことになり、
通知表には卒業するまで「クラスで双璧」の記述だけが燦然と輝き続けた。五三の桐に浪漫の嵐。

(続く)

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※この物語はフィクションだったりノンフィクションだったり、脚色を含んでいたりいなかったりします。

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ライブドアねとらじで不定期に放送中のラジオ「ふぉるすたーらじお」の面々による共同ブログです。

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