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(せ)ハイスクールデイズ №3

桐蔭学園はマンモス校である。
一学年の人数は1,500人を数え、全校朝会は3階席まであるホールにも生徒が入りきらず、複数回にわたって行われる。
体育祭(とは名ばかりのマラソン大会)は日産スタジアムを借り切って開催され、
ひとっ走りして腹を空かせた数千人規模のティーンエイジャーをターゲットに、周辺の農家は臨時の唐揚げ屋台を出店する。
それにまんまと釣られて1パック100円の唐揚げに長蛇の列を作る桐蔭生は、体育祭からの帰り道の風物詩であった。

****

桐蔭学園はマンモス校であるが故に、体育祭に類するイベントがもう一つ存在する。
前述した、会場の規模の割に内容はただ走るだけの体育祭に加え、
授業で行う競技をクラス対抗形式で行うスポーツ競技会、通称「スポ競」が毎年行われる。
余談だが、私は1年生のスポ競の日にジャージや運動靴などの装備一式を田園都市線の網棚の上に忘れ、
借り物の装備でその日一日を過ごし、忘れ物を取りに行った永田町駅で遺失物管理事務所に辿り着けず、30分間迷い続けた。

翌年、あまりスポ競に精力的でなかった私は、知らないうちに寄せ集めのハンドボールチームに振り分けられていた。
運動音痴のH野くんがゴールキーパーとしての機能を一切果たさずに0-33の惨敗で初戦を終え、
暇潰しにエル坊、クケン、手綱らが参加する剣道の試合を見物に行った。
それは試合などという生易しいものではなく、まさしく「死合」と呼ぶに相応しい、血で血を洗う戦いだった。
先鋒のエル坊は審判が下級生であるのをいいことに、制止を振り切ってルールを逸脱した箇所への攻撃、攻撃、攻撃。
足払いで相手を倒し、フロアに這いつくばった相手の面めがけて竹刀を立て続けに振り下ろす。
6本くらい入ったところでようやく審判が「一本!」の判定を下す。この圧倒的暴力こそがエル坊流の剣道である。

しかし、血の気の多い出場者はエル坊だけだったようだ。
続く3人はのらりくらりと盛り上がらない試合を展開し、勝敗の行方は大将戦へともつれ込んだ。
そう、出番が来る前に勝負を決めようと配置した捨て駒大将、クケンの双肩にチームの勝敗が委ねられてしまったのだ。
試合開始の笛が鳴る。しかし両者動かない。お互いを牽制するでもなく、腰が引けた構えのまま両者一歩も動かない。
ここで気が付いた。相手チームも大将戦を捨てていたのだ!

「殺れ!!!」

エル坊の物騒な野次が響き渡る。それに呼応したように、クケンの竹刀が相手の喉元を貫いた。
もう一度言う。クケンの竹刀が相手の喉元を貫いた。
声にならない声を上げて後ろに倒れる相手選手。審判の「一本!」の声が我がクラスの勝利を告げる。
無論、剣道において突きは禁止技ではない。
危険だからと授業で禁止されていることなど、真剣勝負であるスポ競に関係あろうはずもない。
試合後しばらく経っても不気味な呻き声を上げて立ち上がることのできない相手選手の自己治癒能力を信じて、
我々は意気揚々と勝利の余韻に浸りながら、教室へと踵を返したのであった。五三の桐に浪漫の嵐。

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※この物語はフィクションだったりノンフィクションだったり、脚色を含んでいたりいなかったりします。

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ライブドアねとらじで不定期に放送中のラジオ「ふぉるすたーらじお」の面々による共同ブログです。

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