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(ほ)大丈夫、大丈夫、周りを見てよ

「ありがとう」
それは魔法の言葉だ。その一言で自分も相手も笑顔になれる。
「ありがとう」
それは信頼の証だ。お互いの相手を思う気持ちがそこにはある。
「ありがとう」
それは明日への一歩だ。その一歩、それだけで未来は変わる。


よく晴れた、雲一つない冬空の下だった。

「何してるの?」

早朝の駅のホームに佇んでいると、聞き覚えのある声が聞こえた。
偶然だった。見ると、そこにはジュン君の姿があった。
前に会ったのは前回のふぉるらじだっただろうか。早いものでもうあれから一月半が経過している。
彼は言った。

「俺もう2回くらいペナルティになってたと思うんだよね。」

そうだ、我々は共にこのブログで交換日記をしている。
この交換日記では7日以内に記事を書かないとペナルティが発生するというルールがある。
ペナルティを受けた場合は、新しい経験をし、社会を知り、より良い記事を書くための取材をすることが要求される。
ジュン君は現在2回連続でペナルティを発生させている。また以前にも3回、計5回のペナルティを受けており、しかし取材に行ったのはまだ1回だけだ。つまり4回のペナルティを残している状態となる。

『ちゃんと取材に行くんだぞ。』

しかしながら僕はその言葉を彼にかけることは出来なかった。
なにも言えず、ただ別れの挨拶をし、後姿を見送ることしか出来なかった。
そう、僕には彼に何もいう資格はない。
かくいう僕も同じペナルティを負った身なのだ。


その日は地元から数駅離れた所でイベントの手伝いがあった。
イベントは恙なく昼過ぎには終了し、騒ぎ立てる腹の虫を抑えるべく街へ出ることにした。
空気は冷たく、冷え込んでいたが、相変わらず空には雲一つ無い。
全国チェーンのコーヒーショップで遅めの昼食を済ます。
たまごサンドをコーヒーで流し込みながらも、何か喉に引っ掛かるものが取れない。
理由はやはり朝の出来事だろう。
言えなかった一言。
それは自分がペナルティを果たしていないことに対する背徳感でもあるし、ジュン君に心を隠したことによる咎めかもしれない。
このままではいけない。
今の自分にできることはただ一つ、正面からペナルティに立ち向かうことだけだ。


過去のふぉるらじでも言っていたが、1900君とジュン君は取材経験がある。
これは大きなアドバンテージだ。
操縦方法を知らない飛行機にいきなり乗っても無事に目的地に辿りつくことは難しい。
おそらく滑走路からはみ出しどこかに突っ込むか、例え飛びたてたとしても墜落することとなるのが目に見えている。
僕はこの飛行機の操縦方法を知らない。辛うじて、翼が生えていることと、目的地を知っているだけだ。
マルドゥック・スクランブルのアシュレイ・ハーベストが言っていたっけ?
知識か、運か、助言をくれる誰かがいれば、その偶然があるから我々は生かされているのだと。
そのことを忘れてはいけないと。
知識は無い。運も無い。でも助言をくれる誰かはいるかもしれない。
人間は必ずしも敵ではない。
荀子の言うように、人間は生まれながらに善ではないとしても、例え悪だとしても、行動には目的が伴う。
だから目的が一致していれば、それは助言をくれる誰かになるだろう。
心配しなくてもいいはずだ。乗るべき飛行機も座るシートも握るハンドルも、どの道選べない。
なるようになるしかない。
今は「電話番号」、その知識だけあれば生かされていられる。


電話の相手は淡々とした口調で話した。
話す内容も簡潔であったが、むしろ丁寧な印象を受けた。
質問にも恨み言一つなく答えてくれた。
僕の伝えるべき内容は簡単だった。「30分」「フリー」。これだけだ。
滑走路までは迷わず辿りついた。
朝が早かった所為か、頭はややぼんやりとしている。
緊張はあまり無い。瞼が重い。
眠気が思考を覆い隠していく・・・。

コンコン。

突然、音が響く。深淵に潜りかけていた意識が一気に現実へと引き戻される。

どくんどくん。

心拍数が上昇する。気持ちの高揚はない。
もっと日々にトキメキを。どきどきできる毎日を。
そんな願いも空しく、背中を水が伝うような嫌な緊張感が走る。
とりあえず、ドアを開ければいいのか・・・?

「はーi「「○○ですー、よろしくー☆」

ドアを開ける直前に隣の部屋から声が響いた。
うん、隣だった。
先走ってドアを開けなくて良かった。
安堵と共に、緊張感も溶ける。これはとんだ笑い話が出来てしまった。

コンコン!

さっきよりも強く響くドアの音。
今度は間違いない。

ガチャリ
ドアを開く。
これは年代物だ。
少なくとも僕がロマンを感じる様なマシンではない。
さあ、離陸の時間だ。

安定したフライトというのは、味気ないものである。
ドラマとは何時の時代もアクシデントから生まれるものだ。
冷静に考えれば席に座ってしまえば、自動操縦も可能な機体だ。
操縦は殆どしない。
たまに手を出してみるものの、興味の無い機体だ、すぐに飽きてしまう。

実に安定したフライトだった。
そもそも果たして離陸したのかすらも定かではない。
シートの座り心地の悪さだけが気になった。


外に出ると冷たい風が身体に刺さる。
合わないシートの気持ち悪い感覚が残る。
思い返せば、今日ここで何を得たのだろう。
時間も使い、金も使い、不快感が残る。
これで胸を張って、ジュン君と話をすることはできるが、それほどの価値のある事だったのだろうか。
空は薄紺に染まり、沈みゆく太陽はどこにも見当たらなかった。

「ありがとう」
それは魔法の言葉である。その一言は幸せを呼ぶこともあれば不幸を呼ぶこともある。
「ありがとう」
それは信頼の証だ。果たすべき約束である。
「ありがとう」
それは・・・

何が正解なのか分からなくなることも
この空には雲なんてひとつもないのに

hojo80°
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Author:ふぉるらじファミリー
ライブドアねとらじで不定期に放送中のラジオ「ふぉるすたーらじお」の面々による共同ブログです。

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