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(せ)カリスマ伝説 三

現場での研修が終わって本格的に営業活動を開始したのは10月頃。
それまで事務所にはいないことが多かったが、研修レポートを書きに帰社すると、いつも新入社員の私よりも早く帰る男がいた。
早く帰ってギターの練習をすることが人生のテーマである私にとって、その姿はカリスマ性さえ感じられるものであった。
カリスマ。いつしか私は心の中で、彼のことを定時上がりのカリスマと呼ぶようになった。

****

カリスマなのだから、仕事の仕方も全く普通の人とは違う。
カリスマ性溢れるパフォーマンスを発揮するため、昼休みは前後30分ほど余分に取って昼寝をする。

ある日、社内で見積もりを作る予定になっていたカリスマの姿が事務所から消えていた。
駐車場を見ると、空いていたはずの社用車が1台ない。
市役所か法務局にでも行ったのだろうとその場では流され、誰も気に留めることはなかった。

昼下がり、最寄りの保土ヶ谷バイパス狩場ICを使って、現場から工事部の社員が帰社し始める。
すると、多くの社員から狩場IC近くのセブンイレブンの駐車場に見覚えのある車を見かけたとの報告が寄せられた。
不審に思った工事長が、会社にいた若手社員Nに偵察を命じた。

そこに、カリスマは、いた。
会社を出ていった時間から計算すると、凡そ2時間ほど寝ていたことになる。全く動く気配もない。
起こすことまでは命じられていなかったNはカリスマを放置して会社へ戻り、一部始終を報告。
それからもう1時間ほどして、ようやくカリスマが帰ってきた。何食わぬ様子である。一同無言。
最高のパフォーマンスを確保するために、今日も、明日も、カリスマは寝る。

****

カリスマは昼寝をするのに人目など気にしない。
最高のパフォーマンスを発揮するために寝ているのだから、後ろめたさを感じる必要などないのだ。

カーシェアリングというサービスをご存じだろうか。
タイムズを筆頭に、レンタカーの類似サービスとして近年発展を遂げている成長産業だ。詳しくはググって頂きたい。
我が支店の営業マンには会社からこのカーシェアリングのカードが貸与されており、
社用車が空いていなければ好きなステーションから好きな車を借りることができる。

ある日私は、最寄りのステーションから車を借りて外回りをし、夕方に同じステーションに帰ってきた。
カーシェアリングはレンタカーと違って、車は必ず元あった場所に返さなくてはならない。
すると、隣に停めてあったカーシェアリングの車の前にあるべき、誤駐車防止用のマーカーが外れていた。
親切な私はマーカーを所定の位置に戻そうとしたのだが、そこで運転席に人が横たわっているのが見えた。
「うわあ!」と声を上げて驚いてしまったが、よく見るとそれは神々しいカリスマの寝姿であった。

特に何の命も受けていない私は、カリスマを放置して会社に戻った。
それから1時間ほどして、ようやくカリスマが帰ってきた。何食わぬ様子である。
私はすかさずタイムズカープラスのマイページにログインした。
カーシェアリングは返却後、法人なら登録者全員が使用した内容の詳細を閲覧することができる。
それによると、カリスマは3時間ほど車を借りていたようだ。
走行距離は0㎞とある。つまり3時間ずっとステーションからピクリとも動いていない。

しかしものは考えようだ。
昼寝によって実現するカリスマの神懸かり的パフォーマンスのおかげで数億の利益が生み出せるのなら、
3時間分のカーシェアリングの料金など塵芥の如き経費である。
3時間しか使わないのに6時間4,000円パックで借りていたことなど、もちろん関係ない。
そもそも6時間たっぷり寝るかもしれなかったのだ。少なく見積もって超過料金が発生してしまっては元も子もない。
リスクマネジメントの観点からしても、予め6時間分の料金を見込んでおくのは至極当然のことである。

会社はカリスマのパフォーマンスを上げるために、経費を払って睡眠場所を提供する。
そして会社のため、仕事のため、今日も、明日も、カリスマは寝る。

(続く)

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※この物語はフィクションだったりノンフィクションだったり、脚色を含んでいたりいなかったりします。

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ライブドアねとらじで不定期に放送中のラジオ「ふぉるすたーらじお」の面々による共同ブログです。

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