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(せ)カリスマ伝説 五

連載の間隔を素で1回間違えて3回ぶりの更新になってしまうほど、私は疲れていた。
退職日は(無理矢理)決まったものの、激務と体調不良でロクに転職活動を行えず、
依然プーリスクは背負ったまま。プーリスクって可愛いな。フリスクみたい。

辞め行く人間にボーナスを支給するほど、我が社は人道を重んじていない。
賞与カットにかけてショーイ・カットマンという名前でユーチューバーにでもなろうかと悩んでいたある日、
カリスマがある提案をした。

「席を交換しませんか」

「席を交換」という響きを何年ぶりに聞いただろう。私の隣には美少女も目が悪い子もいないのだが。

「その方が打合せなんかもしやすいですし」

どうやら私をカリスマと同じ島に移動させるよう打診しているらしい。おいやめてくれ。
我が営業部には課長が2名おり、それぞれが部下たる営業マンの仕事を半数ずつ管理する体制をとっている。
私は幸運なことにカリスマと同じA班に分けられ、カリスマの辣腕ぶりを間近で見ることができているのだが、
別に定期的に班別ミーティングなどやっているわけでもないし、打合せすることなど何もない。

「おう、じゃあ1900移動しろ」

課長は非情だった。
それからというものの、カリスマとの濃密なコミュニケーションが始まった。

我が支店では今更Googleカレンダーによるスケジュールの共有を始めたのだが、
それが見事に功を奏し、カリスマが私の予定を見て必要なしと独自の判断を下した仕事をバンバン切り捨て、
いきなりカリスマの手伝いをねじ込んでくるようになった。
A課長率いるA班の売り上げに関わる大型案件をカリスマが担当している以上、A課長もそのことについては肯定的である。

しかし、私の心はどこか安らかだった。
というのも、カリスマから課されたカリスマミッションをクリアする度に、
カリスマからゴテゴテと派手な絵文字で彩ったお礼メールが来るのだ。
あまつさえ20代以下の女子のみに許された文字表現「ぁぃぅぇぉ」が挿入されることもある。
どうも年齢の割に言動が不安定だと思っていたが、もしかしたら不安定な年頃の女子と中身が入れ替わったのかもしれない。
ともかく、私はこのカリスマメールを密かに楽しみにしていた。

今日も今日とて午前中の打合せ準備の予定が全て吹っ飛び、
昼休みを返上してカリスマ案件の書類受取に東奔西走することになった。
どうせすぐに支店で合流するので特に報告義務はない仕事であったが、
カリスマメール見たさでいちいち報告メールを送ってみた。さあ、どんな返信が来るか。

カリスマメール改

写真では伝えきれないが、背景がチカチカと目まぐるしく点滅している。ついに来た、デコメが。
画面に映り込んだ私の目が死んでいるように見えるのはもちろん気のせいで、
まるで大野豊のパームボールを初めて間近で見たカープファンの少年のような目をしていたに違いない。

気力体力が限界を迎えても、カリスマミッションはお構いなしだ。
「1900、ちょっと時間ある?」という問いにいちいち素直に答えてしまう私にも問題はあるのだろう。
しかし心の奥底では、仕事の報酬たるカリスマメールを欲してしまっているのかもしれない。
お金だけでも、やりがいだけでも、人間は働けるようにはできていない。そう、ビジネスマンにはカリスマメールが必要だ。
カリスマメールを!一心不乱のカリスマメールを!
さあ、明日はどんなメールが来るのかなあ(白目を剥きながら涎を垂らす)

(続く)

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※この物語はフィクションだったりノンフィクションだったり、脚色を含んでいたりいなかったりします。

1900
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Author:ふぉるらじファミリー
ライブドアねとらじで不定期に放送中のラジオ「ふぉるすたーらじお」の面々による共同ブログです。

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